眠れない夜のために-千早茜-

読書

夜に眠ること。人はそれぞれいろんな夜を持っていて、眠れない夜のために(千早茜)ではそんなそれぞれの夜がテーマになっている短編集でした。

職業柄、眠れない夜なんて見ると、寝付きが悪いのか、途中目が覚めるのかなんて無意識に結びつけてしまうけれど。小説であれば、眠れない理由に物語があって、不眠なんて症状の物語では当然ありません。笑笑

物語の途中に挿絵があり、そこで小さな場面転換があるので物語次第はサクサク進みます。

犬に擬態したような感覚になれる短編がありました。

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家族が寝静まった夜。”今は俺が家の王だ。”と息巻いて日中にはできない
”いたずら”をやりまくる笑
日中はおとなしくしているからか、柵は子犬時代に合わせて作られいて、飛び越えるなんてお手のもの。飼い主がいないときに暴れ回っている犬の心境はこんなものな気がする描写がすごくあって面白い。😆

夜に遊びまわっていると裏口が空いていることに気づく。
”育ちのいい犬だから、リードをつけずに外出したことはないのだ”と、自称の育ちの良さはアピールする。
空いていたら当然外に飛び出していくのが性ってやつで、”自由”を浴びるように外の世界をかけていく。

自由を闊歩しながら、街一番の老犬”コロじいさん”のもとへ。
コロじいさん若い頃は”首輪抜け”をよくしていたらしい。笑
人間でいう夜遊び的なところでしょう。首輪抜けでヤンキーみたいに悪いことをしていた認定されているのがフフっと笑える。

自由はいいぜと夜の王はいうけど、コロじいも若い時に同じようなことを思ったのだろう。「自由なんていいもんじゃない。」と一言。
たったその一言で一家の一員だったことを思い出させて、夜の王は家族も元へ帰っていく。

犬視点でパッと読める短編。千早茜さんらしい、どこかふわっとした表現がクセになる小説でした。

 

 

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